「マーケットのテクニカル分析」第4章② - トレンドライン- アウトプット

目次

トレンドライン

トレンドラインの引き方

上昇トレンドライン
 少なくとも2つの切り上がった安値を確認する(=トレンドの存在確認)。
 2つ目の安値が1つ目の安値を上回っていることを確認し、2つの点を右上がりの直線で結ぶ。

下降トレンドライン
 少なくとも2つの切り下がった高値を確認する(=トレンドの存在確認)。
 2つ目の高値が1つ目の高値を下回っていることを確認し、2つの点を右下がりの直線で結ぶ。

暫定トレンドラインと有効トレンドライン

暫定トレンドライン
 上述の2つの点を結んだ直線のこと。

有効トレンドライン
 上述の2つの点に加え、価格が3回目にラインに触れて価格が反発したときの、3つの点を結んだ直線が、有効トレンドラインになる。

トレンドラインの使い方

形成し始めたトレンドは、その動きを持続する傾向がある。

トレンドラインは、支持線の役割(買い場)や、抵抗線の役割(売り場)となる。

トレンドラインの突破は、トレンド転換を示唆する優れた早期警戒シグナルとなる。

トレンドラインの重要性を見る指標
 トレンドラインが突破されずに経過した時間の長さ
 トレンドラインが試された回数の多さ

トレンドライン付近までの押しは買い場となる。
トレンドラインをブレイクしたら、トレンド転換のシグナルとなる。

トレンドライン付近までの戻りは売り場となる。
トレンドラインをブレイクしたら、トレンド転換のシグナルとなる。

トレンドラインは値動きをすべて包含すべき

トレンドラインを引く時は、1日の値幅の高値や安値をつなげて引く。

※終値だけをつなげた場合、1日の値動きの一部しか考慮されないことになる。1日の値動きを全て含む高値や安値を基準としてラインを引く。

わずかな突破の扱い方

日中の値動きの中ではトレンドラインを突破したものの、終値ではトレンドラインを維持しているときはどう判断する?

確固たる答えはないので、無視するのが得策

トレンドラインのブレイクに有効な条件とは

終値がトレンドラインを突破(実体で上抜け又は下抜け)したとき

価格フィルターの例
 現在価格から1%(短期トレードの場合)〜3%の突破(1〜3%ルール)

時間フィルターの例
 価格が2日間にわたって上抜け又は下抜けする(2日間ルール)

トレンドラインはどのように役割を転換するか

支持線・抵抗線と同様、いったん突破されると、支持線と抵抗線の役割が転換する。

トレード時は、トレンドがブレイクされた後も、トレンドラインを延長して残して引いておくとよい

トレンドラインによる目標値の算出

トレンドラインブレイク後の値動きは、「トレンドライン開始時」から「トレンド転換前」までに動いた垂直距離と同じ距離だけ動く。

トレンドラインの始まりから、50ドル上昇した場合、その後、下降してトレンドラインをブレイクしてから、50ドル下落する。

ファン理論

3本目のトレンドラインのブレイクは、有効なトレンド転換のシグナルになる。

※ファンは「扇」のこと。トレンドラインが扇状の形状になるため。

上昇トレンドライン(1)をブレイクして下落、再び上昇するも1本目のトレンドライン(1)をブレイクできず。
2本目のトレンドライン(2)が引ける。
トレンドライン(2)をブレイクして下降後、2本目のトレンドライン(3)のブレイクに失敗。
3本目のトレンドライン(3)が引ける。
3本目のトレンドライン(3)をブレイクすると、さらに下落するシグナルとなる。

下降トレンドライン(1)をブレイクして上昇、再び下降するも1本目のトレンドライン(1)をブレイクできず。
トレンドライン(2)をブレイクして上昇後、2本目のトレンドライン(3)のブレイクに失敗。
3本目のトレンドライン(3)をブレイクすると、さらに上昇するシグナルとなる。

「3」という数字の重要性

テクニカル分析全般において「3」が大きな役割を果たしている。

ファン理論の3本目のトレンドライン
3種類のトレンド
トレンドの3つの局面
3種類のギャップ
3つの山(トリプルトップ、ヘッド・アンド・ショルダーズ)
トレンドの3方向

トレンドラインの相対的な傾斜角度


45度より鋭角だと、上昇が急すぎるので長続きしない
45度より鈍角だと、上昇が緩やかなのでトレンドが弱く、信頼性に乏しい

トレンドラインの調整法

トレンドラインは、その緩急の変化に合わせてラインを引き直す必要がある。

ただし、トレンドがどんどん加速し、急角度のトレンドラインの追加が必要な場合は、移動平均線(※後述)を使う方が望ましい。

異なるレベルのトレンドラインを特定するには、異なるレベルのトレンドラインが必要となる。

トレンドライン(1)が急角度すぎたため、緩やかなライン(2)を引き直した例

トレンドライン(1)をブレイクしても、それは単に、緩やかな上昇トレンドが維持されるための調整であることが多い。

トレンドライン(1)が緩やかすぎたため、急角度の線を引き直した例

メジャートレンドのトレンドライン(1)
インターメディエイトトレンドのトレンドライン(2,3,4)
マイナートレンドのトレンドライン(5)

チャネルライン(リターンライン)

価格は、基本のトレンドラインチャネルラインで作られた2つの平行線の間でトレンドラインを形成する。

チャネルラインがブレイクすることなく長く持続し、多く試されると、トレンドラインの重要性や信頼性が高くなる
※基本的には、チャネルラインよりもトレンドラインの方が重要度が高い(チャネルラインはトレンドラインの二次的な利用法にすぎない。)。

チャネルラインの引き方

【上昇トレンドの場合】
安値(1,3,5)を結んで、基本のトレンドラインを引く。
初めの高値(2)から、基本のトレンドラインに平行な線を引く。
③次の上昇でチャネルライン(4)に達し、そこで押す動きがあれば、チャネルが存在する可能性が高くなる。

※下降トレンドの場合はその逆で、高値を結んで基本のトレンドラインを引き、初めの安値から平行線を引く。

チャネルラインの使い方

売買のタイミングの目安として

上昇トレンドにおける基本のトレンドラインは、押し目買いの目安となる。
上昇トレンドにおけるチャネルラインは、短期売買の利食いや、逆張りの売りを仕掛ける(ただし逆張りはリスク大)目安となる。

トレンドの加減速・トレンド転換のシグナルとして

上向きチャネルのブレイクは、既存トレンドのさらなる加速のシグナルとなる。
買い増しのサインとして使うことも

チャネルラインに価格が達しないと、トレンドが弱まったシグナルとなる。
トレンドが転換しつつありトレンドラインをブレイクする可能性が高まっている状態。

基本トレンドラインの調整として

上昇チャネルラインをブレイクしたときは、新しいチャネルラインと並行するトレンドラインを引き直す。
新たなトレンドラインが有効に機能することが多い。

価格がチャネルラインの到達に失敗し、トレンドラインを下回った場合、切り下がった高値に沿ってトレンドラインが引かれ、直近の安値を起点に、平行するするチャネルラインを引く。
新たなチャネルライン(赤点線)が最初の支持線になることがよくある。

リトレースメント比率

リトレースメント…トレンドに逆行する「押し」や「戻り」の動きのこと

リトレースメントの動きの幅は、比率で予測が可能
  50%リトレースメント
  1/3リトレースメント(33%リトレースメント)
  2/3リトレースメント(66%リトレースメント)

全てのレベルのトレンド(メジャー・インターメディエイト・マイナー)で適用可

左図は50%リトレースメントの例


戻り買いの買い場を探すなら、33%〜50%の幅を見るとよい。

最大の逆行幅:66%
66%以内にとどまれば、比較的リスクの低い買い場・売り場となる
66%を超えた場合は、トレンド転換の可能性あり。この場合、通常、上昇分・下降分の100%逆行する。

スピードライン

リトレースメント比率にトレンドラインを組み合わせた手法

トレンドを3つに分割し、スピードレジスタンスライン(スピードライン)でトレンドの上昇率や下落率(速度)を測定する。

トレンドの始点から高値又は安値を結んだ垂直距離を3分割し、始点から1/3の点と、2/3の点を結んだラインを引く。
調整の場合、2/3のスピードラインで値動きが止まる。
2/3で止まらなければ1/3のラインまで下落又は上昇。さらに下落または上昇すると、トレンドラインの始点まで下落又は上昇する可能性大
スピードラインをブレイクすると、支持線と抵抗線の役割は転換する。

ギャンラインとフィボナッチライン

フィボナッチライン
…スピードラインと同じ方法でラインを引くが、38%と62%の角度となる点が異なる。

ギャンライン(※ただし、有効性に疑問あり)
…高値や安値から45度、75度、63.75度、26.25度、15度など計9つのラインを引く。

ラインの役割はスピードラインと同じ。

内部トレンドライン

トレンドラインの応用で、極端な高値や安値を無視して、値動きの一部を通過させつつも、可能な限り多くの高値と安値を含むように引いたライン。値動きと重なるようにラインが引かれる。

ただし、主観的すぎるという批判あり。

リバーサルデイ(反転日)

トップリバーサルデイ…上昇トレンドで、高値を付けた日と同じ日に、前日の終値よりも安く引けること。

ボトムリバーサルデイ…下降トレンドで、安値を付けた日と同じ日に、前日の終値よりも高く引けること。

値幅が広く出来高が多いほど、短期トレンドにおける重要なシグナルとなる。

出来高が特に多いボトムリバーサルデイを「セリングクライマックス」という。上図は典型例
下落相場でよく見られる劇的な反転
下落の最終的な底を示すシグナルではないが、重要な安値と見ることができる。

週足反転と月足反転

週足チャート(ロウソク線は週全体動きを示す。終値は金曜日)と月足チャートに現れる重要なパターン!

アップサイドウィークリーリバーサル(週足反転)
…1週間は安値で取引され、新安値を付けたものの、金曜日には前の週の金曜日の終値よりも高く引ける。

日足における反転よりも重要!

ギャップ(窓)



上昇トレンド…前日の高値より上で寄り付き、その価格帯での取引がないまま引けた場合に生じる。
下降トレンド…その日の高値が、前日の安値よりも低い状態

相場の強さを示すシグナル
下方ギャップ…相場の弱さを示すシグナル

※ちなみに「ギャップは埋められる」という神話は誤り。

3種類のギャップ

ブレイクアウェイギャップ
ランナウェイギャップ
エグゾースチョンギャップ

ブレイクアウェイギャップ

重要な価格パターンが完成したときに現れる、重要な値動きの始まりを示すシグナル

重要な価格パターンが完成後、ブレイクアウェイギャップで抵抗線をブレイクすることがよくある。
天井圏や底値圏から離脱するときに現れやすい。
メジャートレンドラインをブレイクしてトレンド転換するときに現れることがある。
出来高の増加を伴う。
多くの場合、ギャップが全て埋められることはない(出来高が多いほど埋められる可能性は低い。)。
上方ギャップは、その後、支持線の役割を果たす。
上昇トレンド中は、価格がギャップを下回ることはない
 →ギャップより下で引けた場合、トレンドが弱くなっている兆候

ランナウェイギャップ

値動きがしばらく持続した後、中間付近で形成される価格の跳ね上がり・下がりのこと。

適度な出来高で相場が難なく動いている状態を示す。
す。その後、支持線の役割を果たすため、ギャップが埋められることはない。ギャップを下回る価格で引けたら悪い予兆
下降トレンド…相場の弱さを示す。
トレンドの起点(シグナルやブレイクアウトポイント)から、すでに進行した距離を倍にすると、これからトレンドがどれだけ進むかを予測できる(そのため、メジャリング(測定)ギャップとも呼ばれる。)。

左は、上昇終盤に現れるエグゾースチョンギャップ。その後、価格がギャップを下回れば天井(=下降)のシグナルとなる。
真ん中は、中間付近で現れるランナウェイギャップ
右は、相場の底で現れるエグゾースチョンギャップ。その後、価格がギャップを上回れば上昇のシグナルとなる。

エグゾースチョンギャップ

値動きの終わり付近で現れる。

”最後のあがき”的な値動きのため、すぐに減速して数日〜1週間以内で値を戻し、ギャップの下側(上昇トレンド)又は上側(下降トレンド)で引ける

「上昇トレンド中にギャップを超えて下げたときは非常に弱気」の典型例

アイランドリバーサル

上昇トレンド中、エグゾースチョンギャップが現れた後、数日〜数週間の間、狭い値幅で取引され、そこからギャップを空けて下落すると、数日〜数週間の動きが島のように見える、アイランドリバーサルパターンが形成される。
重要なトレンド転換のシグナル

わかりやすい解説動画

※トレンドラインの説明は10:09〜
「マーケットのテクニカル分析」をとてもわかりやすく解説している動画。

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